2000年代後半以降、特にリーマン・ショック以降は「終身雇用」が崩壊し、転職が珍しくなくなりました。
とはいえ、転職活動は一定のストレスがかかりますし、ネガティブな理由での転職は避けたいもの。
転職先での面接で転職理由を質問されることがほとんどですが、ネガティブすぎる理由は嫌われます。
私自身、現在の会社が4社目。
社会人生活の大半をキャリアアドバイザー(≒キャリアカウンセラー)として働いてきましたが、転職理由のトップは「上司・同僚との人間関係」です。
というわけで、今回は「人間関係で仕事を辞めない&長期的に楽しんで働くためのコツ」をご紹介します。
転職理由のほとんどは、半径15メートル以内の出来事が原因
前述の通り、約8年弱キャリアアドバイザーとして働いてきた中で、数千人の転職希望者と面談をしてきましたが、必ずする質問は「なぜ転職を考えたのですか?」です(もちろん他にもありますが)。
この質問で相手の「ストレスがかかるポイント」を探ります。
が、たいていは、複雑な理由がありそうでも、解きほぐしていくと「上司・同僚・部下との人間関係」であることがほとんど。
例えば「キャリアアップしたい」という一見前向きな転職理由も、「なぜ今の会社ではキャリアアップできないのか?」など、掘り下げて質問していくと、
- 上司が責任ある仕事を任せてくれない
→だから裁量権のある会社に転職したい - 同期ばかり出世して、置いていかれている
→だからスゴい会社に転職して、同期を見返したい - 同僚に手柄を横取りされた
→それに気づかない上司も上司だ。もっと風通しのいい会社で働きたい - 部下が仕事でミスを多発して、自分の仕事に集中できない
→だから転職して、デキる部下を持ちたい
などなど、「職場の人間関係」が転職理由の本音として見え隠れします。
上記はあくまで極端な一例ですが、全ての理由が「他責」なことにお気づきの方も多いでしょう。
転職活動に限らず、「他責」な理由で行動する人はたいてい上手くいきません。
とはいえ、上記に挙げた例はどれも「よくある事例」ですし、ストレスが溜まるのも確か。
では、どうしたら人間関係に振り回されず、長期的に仕事を続けていけるのでしょうか。
自分の「嬉しいポイント」と「ストレスポイント」を把握する
キャリアアドバイザー時代、私がよくしていた質問&アドバイスをご紹介します。
それは、「どのようなときに達成感を持てるのか?」と「なぜストレスを感じたのか?」を把握することです。
詳しく見ていきましょう。
嬉しいポイントの把握
まず「どのようなときに達成感を持てるのか?」について。
よく「自分の関わったプロジェクトが上手くいったとき」と答える方がいますが、コレでは不十分。
- プロジェクトメンバーそれぞれがキチンと自分の役割を果たしたから
- コツコツ積み上げてきたデータ分析が実を結んだから
- プロジェクトが社長賞を獲ったから
- プロジェクトが上手くいったことで評価(&給与)がアップしたから
などなど、人によって「嬉しい」「達成感がある」と感じるポイントは様々。
まずはコレを自問自答してみましょう。
現状、特にストレスないなーと思っている人も「なぜストレスなく働けているのか?」を考えてみるのがオススメ。
ストレスポイントの把握
続いて「なぜ(仕事上の出来事に対して)ストレスを感じたのか?」について。
コレは事例を前述していますが、嬉しいポイントと比べて、自分で把握しやすいはずです。
自問自答する際は「なぜ?」を繰り返し、掘り下げてみてください。
きっとそこに「譲れないポイント」が隠れています。
1つだけ注意していただきたいのは、「他責の理由をそのままにしない」ということ。
「自分でも解決する方法や対策は本当になかったか?」を、よーーーーく考えてみることを強くオススメします。
「怒り・悔しさ」は短期エンジン→「嬉しい・楽しい」は長期エンジン
2つのポイントを把握したら、最後は現在の仕事と照らし合わせてみましょう。
もちろん、ブラックな環境は論外ですが、「嬉しいポイント」と「ストレスポイント」、どっちが多かったですか?
実はコレ、特に「仕事がイヤだな……」と思っている人は、ほとんどの場合「ストレスポイント」が多いはずなんです。
なぜなら、人間は「嬉しい・楽しい」感情より「怒り・悲しい」感情のほうが強く感じやすいから。
仕事で「悲しい」と思うことは少ないでしょうが、「悔しい」と思うことは多いのではないでしょうか。少なくとも私はそうです(逆に「悔しさ」を感じない職場は、長期的に見て成長が鈍化してる職場なのかも!?)
このことを踏まえ、「怒り・悔しさ」は即転職に向けるのではなく、現在の仕事で挽回するための「短期エンジン」と考えてみてはどうでしょうか。
そして、短期エンジンと対になるのが「嬉しい・楽しい」の感情から紐づく「長期エンジン」です。
仕事上で「嬉しい・楽しい」と感じるポイントは、普段なかなか意識しにくいもの。
でも、よーく考えてみてください。
転職先でも同じように「嬉しい・楽しい」ポイントをキープしたまま働ける保障はありますか?
この問いかけで「確かに……」と転職活動を止めて現職に留まる方も多いです。
逆に「嬉しい・楽しい」ポイントが何らかの形で阻害されている職場であれば、転職を検討しても良いかもしれません。
大切なのは、「怒り・悔しさ」といった短期的感情に振り回されるのではなく、「嬉しい・楽しい」長期的な感情に注目すること。
そもそも、今の会社に入社したのは「嬉しい・楽しい」と思えるはずだと考えたからですよね?
もう一度、入社時の気持ちを思い出して、「嬉しい・楽しい」ポイントに目を向けてみましょう。
■編集後記■
とはいえ、記事を読んだ上で「やっぱり転職だ!」と思ったら、まずは人材紹介会社に登録して、キャリアの棚卸しをしてみるのがオススメ!
前職であるリクルートキャリア(旧【リクルートエージェント】)はもちろん、最近では紹介会社も百花繚乱。
Wantedlyのように「いきなり面接を受ける」のではなく「まずは話を聞きに行ってみる」というサービスも増えているので、試してみてください(回し者ではありませんw)
幾つかオススメの会社を挙げておきます。
あくまで「転職」を勧めているのではありません。「キャリアの棚卸し」や「自分の転職市場価値を把握する」程度にお考えください。
キャリアアドバイザーに相談した結果、今の仕事を続けるのがBETTERという結論になってもいいと思いますよ!
最大手は【リクルートエージェント】
あとは、インテリジェンス社が運営している「DODA」や、マイナビ社が運営しているマイナビAGENT
が大手と呼ばれています。
大手の良いところは、求人数の豊富さ。
特に35歳以下の求人を豊富に持っているので、23〜35歳の方はまずは登録して自分の強み分析や、どんな可能性があるのかを図ってみても良いかと。
※薬剤師の方がもしいらっしゃったら、前職のファルマスタッフ
(メディカルリソース)にぜひ!(完全に宣伝ですw)
■キャリア・仕事・転職を考える上でオススメ本
このジャンルの本もたっくさんありますよね。
最近話題になっている&評価の高い本と、転職本に関しては鉄板のオススメ本をご紹介します。
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