月額制の共創コミュニティ「SUSONO(すその)」のトークイベントに、ビジター枠で参加してきました。
ゲストは、株式会社ほぼ日代表取締役/「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰の糸井重里さんで、モデレーターは佐々木俊尚さん。
テーマは「働く」でした。
「できるような気がする」という気持ちで仕事に向かう
今年で働きはじめて50周年という糸井さん。
佐々木さんの「持続させることは意識してきましたか?」という質問に対する答えがステキです。
意識はしていなかったけど、その都度「糸井は終わりだ」って言われてきて、それがちゃんと聴こえてくるんですよ。
イヤだな。お前に何がわかるって思う。
悔しいっていうよりは、イヤだなっていう気持ちが、頑張らせる動機になっている気がする。
「目にもの見せてやろう」っていうのはないけど、「お前が言っているのは違うぞ」って肩叩きたくなるんですよね。自分が自分に対して、ある種期待しているんです。
「終わりだって言われているけど、そうじゃないよな」って。
講演などでよく「緊張しています」っていう人がいますが、糸井さんは「意味が分からない」とバッサリ。
できるような気がする、っていう気持ちでいろんな仕事に向かっている気がするんです。失敗しないように、もっと上手くやれるようにって思うから緊張するんじゃないかな
「働く」=時間ではない
糸井さんの考える「働く」は、長時間労働にあえぐ日本の会社が注目すべきものだと思いました。
みんな「働く」っていうことを、人力で水車を回すことや、封筒貼りみたいな、時間をかければ生産量があがることだと思い込んでいる気がします。
労働がどれだけ商品の生産に組み込まれたか?が価値だっていう。
売れる分だけ作ってメシが食えればいいのに、倉庫に貯めるために作っている感じ。
糸井さんが「労働時間のムダ」というのはプレゼンテーション。
本来必要な量の8倍くらい、無意味なプレゼンだらけだといいます。
「実際に1日の仕事は、本気でやったら3〜4時間しかできないと思う」という糸井さんの言葉に、佐々木さんも「1日中机に向かっているといっても、本当に集中しているのは3〜4時間かもしれない」と受けます。
本当に集中する3〜4時間を確保するために、残りの3〜4時間があるんです。
尊敬している友人と話している時間は、生産物はないけど、その時間のインプットは素晴らしいものだったりする。
その時間が空いているなら、って打ち合わせを入れてくる人がいるけど、それは違うんです。
もっと自分にインタビューしたほうがいい
「自分の強みが分からない」という人はとても多いように思います。
佐々木さんから「若い人たちは、今後どういう方向を見ていけばいいのか?」という質問に対する糸井さんの答えは、若者だけでなく全ての人に当てはまりそう。
今いる場所が、どう良くて、どう悪いか、ちゃんと見ていない。いいところを見つけられていないんじゃないかな。
「お前、人から見たら羨ましいぞ」っていうことが、今いる場所に絶対あるんですよ。
もし誰かにインタビューされたら面白がられるようなこと。そうそうインタビューされる機会はないかもしれないから、もっと自分にインタビューしたほうがいい。
「自分の強みが「無いな」って思ってからが面白い」ともおっしゃっていて、なるほどなと。
糸井さん曰く「この人の前だと何でも喋っちゃう、っていうのも取り柄ですよね」とのことで、みんな「強み」を難しく考えすぎなのかなとも感じました。
■編集後記■
糸井さんが本当に楽しそうにお喋りしていて、「こういう大人になりたいな」って思った人も多かったのではないでしょうか。
佐々木さんの引き出し方、受け方も素晴らしくて、冒頭で対談について「勝負じゃなくて、2人で一緒に山登りをする」と表現されていたのが、本当にしっくり来ました。
モデレーターや司会の人が質問して、その答えを受けっぱなし or 「なるほどですね」ってすぐ別の質問をしてしまうようなシーン、よくありますよね?
お2人の対談は一切それが無くて、素晴らしかったんです。
あと、糸井さんがちょいちょい強めの表現をされていたのも印象的でした。
佐々木さんからの「糸井さんは何でマウンティングしないんですか?」という問いに対して。
あれは弱さの表れじゃないかなって思うんですよね。
僕はそんなに強い人間じゃないけど、マウンティングする人は弱いなって思う。
ああいう人は1人もいなくなるといいですね。
質疑応答で「糸井さんから上から目線を感じない」ということに対して。
一番短い答えでいうと、「普通でありたい」っていつも思っているから。
普通じゃないことを考えたとき「普通じゃないぞ」って自分で注意している。
「たいしたやつ」に会ったことないんですよ。それなのに「たいしたやつ」ぶっている人、たくさんいますよね。
情報商材についてもバッサリ切っていたんですが、「強めの表現」がヒョウヒョウとした感じで、全然「強く」伝わらないのがスゴいなと思いました。
何ごとも面白がる、っていうのも一つの「強み」なのかもしれない、そう思わせられるイベントでした。
俊尚さん、久しぶりにお会いできて嬉しかったです!
糸井さん、運営スタッフの皆さま、ありがとうございました!