さて、今日ご紹介するのは、先日セミナーに参加させていただき、ようやくお目にかかれた田島弓子さんのご著書。
仕事柄、働き方やキャリア論の本はなるべくチェックしてるのですが、久しぶりに周りにオススメしまくりたいっ!と思えたのでご紹介します。
キャリアは「デザイン」と「ドリフト」の繰り返し
「キャリア・デザイン」という言葉は耳にしたことがあります。
けど、「キャリア・ドリフト」って……?
「ドリフト(Drift)」とは「漂流」って意味ですよね。
本書では「いったん自分で決めた会社に入ったら、しばらくはその環境の中で、与えられる仕事に全力を尽くそうという考え方」と定義されています。
ココで非常に納得したのが「働く時間の大半はドリフト期」という部分。
本書にも書かれていますが、特に新卒の時は期待に胸を膨らませて入社したものの、すぐに華やかな仕事に携わることができるのは稀。
まずは先輩や上司の下で悶々と仕事をする時期があります。
私自身、今振り返ってみると、ウンウンとうなずけます。
そんなモヤっとする時期に、
焦らず、まさにドリフト=流れに身を任せ、目の前の仕事に一つ一つ力を尽くすことで、仕事力を蓄えていく期間だととらえる
(P.37)
ことが、結果として良いキャリアがつくられるコツとのこと。
田島さんの言葉にはたっくさん勇気をもらっていますが、20代の時の自分に聞かせてあげたいッ!という言葉の1つがこの部分です。
「やりたいことがわからない!」と焦っている人に、私はこう伝えたいと思っています。「迷って当然、わからなくて当たり前」だと。
(中略)
今の会社で一つ一つ仕事に全力を尽くしていく中で、いつか訪れる出会いやチャンス、もしくは機が熟すタイミング、そんな“節目”がやってきたときにデザインすればいいのです。(P.64~65)
「やりたいことがわからない」という言葉は、前職でキャリアカウンセリングをしていた際、非常によく耳にするモノでした。
先日の日経キャリア塾でリクルートの花形さんがおっしゃっていた言葉と重なる部分がありますね。ホントにそうだなぁと想います。
岡島悦子氏登壇!丸の内キャリア塾:企業内で輝きながら生き抜く人のキャリア開発術 | マナビシェア
参考:日経キャリア塾セミナーレポート
まずは一人前になれ!
良いキャリアをつくるには、キャリア・ドリフト期の過ごし方が大切だ、と本書にはあります。
本書では、その方法として6つの具体策が挙げられています。
- 「内的動機」でプラスのオーラをまとう
- 「行動目標」でモチベーションを上げる
- 「自分目線」から「仕事目線」で一皮むける
- 「人と動くこと」で大きな成果を上げる
- 「相手のルール」でプレイする
- ココ一番!では「女優になる」
さすがに全部紹介しちゃうとアレなので、(2)と(3)についてご紹介します。
(2)モチベーションはメンテナンスが必要~時間とモチベーションの関係
モチベーション管理、ワタシもずーっと悩んできました。
前職の同僚に「モチベーション上がったり下がったり、疲れない?」と言われたことも。。
モチベーションは「時間の経過とともにだんだん目標達成に対するモチベーションが下がる(P.88)」という特性をもっているそうです。
年初に立てる「今年の目標」を思い浮かべれば「確かに……」と頷ける方も多いのでは?
田島さんは、毎日のToDoと1週間のToDoを手帳に記入し、「今日やるべきこと」と「自分のやるべきことの全体像」を把握していたそう。
ちなみに本書には書かれていませんが、先日のセミナーで、その書き出したToDoを消化するたびに、ピンクの蛍光ペンで塗りつぶしていた、と教えてくださいました。
そうすることで、達成感を得やすくなるそうです。やってみよっと。
(3)「仕事目線」で仕事の「OKライン」を見極める
「私は頑張ってるのに」では通用しない(P.93)
このトピックの小見出しが全てを語ってますね。
本書では「仕事目線」と「自分目線」という表現が使われています。
このプレゼンのために残業も休日出勤もした、その頑張りを評価されたいと思う。しかし会社側からの視点、つまり仕事目線で見れば、「頑張りは認めるけど、結果が出ないと評価はできない」。極端に言ってしまえば「結果さえ出れば、頑張ろうと頑張らなくとも関係ない」のです。
(P.94)
ああ、耳が痛い……
特に女性はプロセスを評価されたがる、と聞いたことがあります。。
ただ、直属の上司は部下の評価をし、それを更に上の上司に承認してもらう必要がありますよね。
その場合、普段の仕事ぶりを身近で見ている上司であればともかく、直属でない上長に成果を認めてもらうには、やはり細かなプロセスではなく、目に見える「数字」という結果なんです。
このことに気づくまで、ワタシ自身もプロセスへの評価を求めていた時期がありました。
若いうちは結構陥りがちな思考パターンなのかと。
では、「仕事目線」で仕事をするにはどうすれば良いのか?
それが本書では「『OKライン』を見極める(P.95)」という表現で書かれています。
同時にいくつもの仕事をこなしつつ、すべての仕事でまんべんなく結果を出すためには、「どこまでやればOKか」という「捨て」の部分を見極めることが重要
(P.96)
ということです。
その見極めには「自分ではなく会社や上司が、その仕事に何を期待しているか」を知ることが大切なんですね。
コレを見極める方法については本書でお確かめあれ。
「なるほど~!」と思いましたよ!(というかホントに新卒の時にこの本を読みたかった……)
■編集後記■
だーいぶ長文になってしまいましたが、ホントに前職の同僚や仕事に追われるヒト達にぜひとも読んでいただきたい!
私の拙い文章じゃ本書の魅力を十分に伝えきれないので、ぜひ書店で手にとってみてください!
すでに若手じゃない(!?)マネジメント層の女性も、「あー、そういえばワタシも若い頃はこーゆーことで悩んでたなぁ……」と思い出すことができて、部下の女性への理解が深まるかもしれません(笑)
田島さん、ステキな本を(あとサインも!)ありがとうございました!
- プロローグ 「このままでいいのかな?」と悩むあなたへ
- PART1 私たちの「キャリアのリアル」を知ろう
- PART2 一人前のビジネスウーマンになる!6つの具体策
- PART3 日常のストレスに負けない!メンタルマネジメント術
- PART4 自分スタイルでいい!女性は次世代のマネジャー向き
- エピローグ 幸せに働こう!仕事は幸せな人生の1ピース
書評はコチラ
ワークライフ”アンバランス”2.0!『「頑張っているのに報われない」と思ったら読む本』田島弓子