「頑張ってるのに報われない」「上司がちゃんと評価してくれない」
そんな風に思い込んでしまっているヒトは、ぜひ本書を手にとってみてください。
「ワークライフ”アンバランス”2.0」というのは、本書が2008年にディスカヴァー21社より出版された『ワークライフ“アンバランス”の仕事力』の続編的な位置づけの本だからだそうです。
起業のハードルが昔より遥かに低くなった最近。
ともすると「サラリーマン=なんかカッコ悪い…」というイメージを持ってしまうワカモノもいるのでは?
本書には、マイクロソフトという大企業で当時数少ない営業部長として活躍していた著者だからこそ言える、
サラリーマンはカッコいいと思えるエピソードが盛りだくさん!
組織で働くことの醍醐味、企業に属しているからこそ得られるモノ。
もちろん、起業しないと味わえない・得られないモノもたくさんあるでしょうが、サラリーマンにしか味わえないことだってあるんだよ!と、世の中のビジネスパーソンを励ましてくれる1冊です!
3つの「内と外」
本書のキーは、モノゴトの矢印を「自分」に向けているか、「他人」や「周り」に向けているか、ということだと感じました。
具体的に挙げていきましょう。
自己実現と他己実現
よく「仕事で自己実現したい」という若手ビジネスパーソンの話を聞きます。
けど、著者はキッパリ、「ビジネスパーソンの辞書があるとしたら、そこに「報われる」という言葉はないはずです。(p.4)」と本書の冒頭で言ってしまいます。
えー、本のタイトルの答え、最初に出ちゃったよ?
と思わずその箇所を二度見しちゃったんですが(笑)、解説は続きます。
相手のために結果を出すこと、すなわち「他己実現」に全力を尽くし続けることによって、結果的に「報われた」と感じることができる。すなわち「自己実現」に至るのです。「他己実現」を積み重ねることこそが「自己実現」への唯一の道なのです。
(p.9)TAKEを考える前に、まずはGIVEを考える。
そのためには、相手の求めるモノをしっかり理解することから始めましょう、とのこと(だいぶ意訳ですが)自分目線と相手目線
仕事に対する視点について、「主語を自分にするか相手にするか」でアウトプットは全く違うモノになります。
- 自分目線:主語を自分で考える。
与えられた仕事の目標や目的よりも、自分んの「こうしたい」が仕事を進めるうえでの指標となる。- 相手目線:主語を相手で考える。
自分の「こうしたい」ではなく、与えられた仕事の目標や目的が指標となる。(p.30)内的動機と外的動機
外的動機=与えられた仕事の目的
と定義されています。それに対して、内的動機とは、
「自分なりの目的や動機を作り出して、それによってやる気を起こせばいい(p.68-69)」ということ。ワタシは「精神状態と行動の質は比例する」という言葉が響きまくりでした。
ストレスとコンプレックスは、克服するのではなく「扱って」あげる
ストレスやコンプレックスという単語とセットで語られるのは、たいてい「克服」「解消」「乗り越える」というような言葉です。
でも著者は「扱う」って……?
とアタマに「?」を浮かべながら読み進めてみて、なるほど!と思ったので、ご紹介。まずはストレスについて。
「「ストレスの原因は自分」だとわかることが重要(p.100)」であり、ストレスや不安を感じたときには、
- ストレスを感じている自分を受け容れること
- そのストレスと向き合ってあげること
- そのストレスを扱ってあげること
というプロセスにしたがって、自分で自分の心を整えればいいのです。
(p.100-101)とのこと。ココでも、ベクトルは外ではなく、内向きですね。
3)のストレスを「扱う」とは、
ストレスを解決するというのは気持を封印するのではなく、ストレスを感じている自分の心はそのままにしておいて、違う方法でストレスが解決されるようなアプローチをすること
(p.102)ということだそう。
同様に、コンプレックスも「克服」すべきものではない、と著者。
克服するのではなくて、そのコンプレックスを抱えたまま、仕事の結果が出るように「扱って」あげればいいと思うのです。
しかも、コンプレックスと思っていたことが武器になることもある。仕事にはそんな可能性が転がっています。
だから、ヘタにコンプレックスを克服しようなんて思わない方がいい。そのコンプレックスが、キャリアの強みに転じることもあるはずです。(p.163)なるほど!とヒザを打つような気持ちになりました。
強みと弱みは背中合わせです。
キャリアカウンセリングの場でも、お客様に自分の長所と短所を言っていただきますが、短所だと思っていることは、たいていの場合、長所に置き換えることができます(無断欠勤・遅刻などは論外ですがw)コンプレックスは、「コレを活かすとしたら、どんな方法が考えられるだろう?」と自問自答してみると良いかもしれませんよ!
モチベーションもミッションも、人任せにしない
それってアタリマエじゃん!と思うかもしれないけど、ワタシはちょっとドキッとしました。
常に、仕事では「自分目標」を持って、コツコツと達成するようにはしているけど、ふと気を抜くと、周りの評価に一喜一憂しそうになる自分がいるので。自分のモチベーションを、お客様や上司から褒められたり、会社に評価されたりと、他人から与えられるものだけに依存するのは、危ういことだと思いませんか?
(p.53)コレ、プリントアウトして机に貼っておきます(苦笑)
モチベーションと同様、ミッション(本書では「働く理由」)について述べられている部分もササりました。
私は、このミッションこそが、人生の多くの時間を「働く」ことに費やすビジネスパーソンに「幸せ」をもたらすものだと考えています。
(中略)
大事なのは、あなた心の底から「よかった」という気持を味わえていることであり、これが、あなたが自分で生み出した仕事の「やりがい」の正体でもあるのです。
(中略)
ただ、一点だけ注意してほしいのは、「褒められたとき」とか「昇進したとき」など、自分の努力以外の要素が必要なものはミッションになりえないということです。
あくまでもミッションとは自分一人の行動を通じて得られる「よかった」という感情だと理解してください。(p.204-205)だいぶ端折りましたが、この部分を読んだだけで、本書のモトが取れた!と震えました。
素晴らしい本です。オススメ!
■編集後記■
敬愛する弓子さんのご著書ゆえ&内容が素晴らしかったので、ついつい長くなってしまいました(^^;
ワークライフ”アンバランス”なんて言ってるし、トライアスロンやってるし、元マイクロソフトの営業部長だし、弓子さんに対して、ワタシが最初に抱いていたイメージは、バリバリのキャリアウーマン&サバサバした性格の方、でした。
でも、実際にお会いしてみると、確かにサバサバしてるし、バリキャリな方なんだけど、なんていうか、温かくて繊細な部分も持っている親しみのある女性という感じなんです(あくまでワタシ個人の感想です)
お会いすると、いつも弓子さんの周りには笑いが耐えなくて、緊張していたはずのお客さんもいつの間にか一緒になって笑ってる。そんな空間を作り出すのが、非常にうまい方だなぁといつも惚れぼれしています。
今回もステキなご著書をありがとうございました!
サインいただいちゃいました♪
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