今回ご紹介するのは、ITmediaビジネスオンラインで大反響を呼んだ経沢香保子さんの連載を、加筆修正して1冊にまとめたKindle本。
以前からブログを拝見していますが、ここ1〜2年くらいのアウトプットの質がどんどん深みを増していて、特にITmediaの記事は通勤途中に拝読してパワーをいただいたし、思わずウルッときてしまって慌てて上を向いて咳払いでごまかしたことも。
何で彼女のアウトプットは変わったんだろう?
何でこんなにも胸に響くんだろう?
そんなことを考えつつ本書を読んで、おぼろげながら答えのようなモノが見えたので、ブックレビューと共にご紹介します。
希望の光は「見える」のではなく「見るんだ」
まずは、経沢さんのことをご存じない方のために、ITmediaオンラインの連載ページからプロフィールを引用しておきます。
株式会社カラーズ 代表
桜蔭高校、慶應義塾大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳の時に自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。2014年に再びカラーズを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社会を実現するべく、1時間1000円~即日手配可能な安全・安心のオンラインベビーシッターサービス「キッズライン」を運営中。
普段のブログでもハッとさせられる言葉がたくさんあるんですが、本書の前書きでぐっときたのが以下の部分。
私がこの本を通じてみなさんに伝えたいことは、ただ一つ、 「自分の(みなさんの)能力は、自分が思っている以上にあるのだ」「だから、夢を諦めないでほしい」ということ
(中略)
諦めなければ、人間は何度でも立ち直れるんだ、希望の光は「見える」のではなくて「見るんだ」ということがわかりました。
トレンダーズの代表を退任された当時、世間ではいろいろ言われていたようですが、私はよく知りません。
ネガティブな話を耳にしたこともあるけれど、ご本人から直接聞いていないことを他人がとやかく言うのは違うと思うので、詳細は知らないし知らないままで良いと思っています。
本書にも詳しくは書かれていませんが、退任当時はおそらく私の想像を遥かに超えたネガティブなコメントが、彼女にぶつけられたのでしょう。
それでも再び「起業」という道を選んだ経沢さんは、やっぱカッコいいな、と純粋に思います。
出会いは最高のご褒美〜経営者として大切にしてきた7つのこと
本書では、経沢さんがこれまで2回の起業&16年間の経営者としてのご自身を振り返って、大切にしてきたことが7つのポイントにまとめられています。
- 求められることがすべての始まり
- 誰もやってないことに楽しみながら挑戦する
- 相談し、相談される人になる
- 常に発信し続ける
- 最高のコンディションで毎日を過ごす
- 愛のある言葉を使う
- 出会いを最高のご褒美とする
中でも特に共感したのが7番目の出会いについて。
どんなことがあっても「私はこの人たちと一緒の空間にいたい」「こんな魅力的な人間になりたい」という思いは、社長業を続ける、起業家でい続ける、私の大きなモチベーションだった
私自身、数年前には「いつか会ってみたいな」と思っているだけだった方と、実際にお会いして親しくさせていただけるようになって、有り難いなと思う一方で「何をGIVEできるだろう?」と考え続けてきましたし、「数年後もこの人たちと、こうやってゴハンを一緒に食べたい」と常に思っています。
私は起業家ではありませんが、自分の尊敬する人たちと同じ空間にいるために、自分を高め続けなければと半ば危機感をもって過ごしています。
「これほどの努力を人は運という」〜批判との向き合い方
私の周りには、経沢さんに憧れを持っている人もいれば、反発心のようなものを持っている人もいます。
盲目的に憧れている人もいて、それはそれでキケンな気もするけれど、よく知らない相手(メディアでしか見たことがない/そんなに親しくない等)のことを批判するのもヘンな話。
でも、本書の、特にLaunchPadで優勝したときのエピソードを見たら、誰もが心を動かされるのではないでしょうか。
少なくとも私は涙が出たし、Youtubeにアップされているスピーチ映像を見て泣きました。
動画が削除されてしまったため、リンクを削除しました。
経沢さんに限らず、世間的に「成功者」と呼ばれる人たちは、多かれ少なかれ「あの人は運が良かっただけだ」というようなニュアンスのことを言われることが多いようです。
何でだろう?って考えていたんですが、本書の最後にヒントがありました。
「幸せ」とか「成功」は、実はもう目の前にありました。 それは、「いま、自分の心が豊かかどうか」でした。 自分はいま楽しい、いま充実している、いま一生懸命生きてる、いま目の前のことに魂を込めることができる。
(中略)
他人と比較しない、他人の意見に振り回されないで、「いま」に集中すること。 どうやって、幸せになるか、ではなくて、「どうやっていまに集中し、充実させるか」の連続なのです
「いま」に全力投球しているから成功しているし「幸せ」そうに見えるし、それを批判している、面白くなく思っている人は、もしかしたら「いま」に全力投球できていないんじゃないかな、と。
冒頭の「何で彼女のアウトプットは変わったんだろう?何でこんなにも胸に響くんだろう?」という問いの答えも、ココに通じるのではないかと思うのです。
つまり、経沢さんは「”いま”に全力投球しているから、彼女のアウトプットはこんなにも響くんだ」ということ。
自分を省みても、誰かを羨ましく思ったり、嫉妬したり、批判したくなったりするとき、たいてい「いま集中すべきこと」に全力投球できていなかったような気がします。
経沢さんもブログで引用されていましたが、幻冬舎の見城社長がよくおっしゃる言葉に「これほどの努力を人は運と言う」というものがあります。
これはもともと、張本勲さんの座右の銘で、「打撃の神様」と称された川上哲治さんにもらった言葉だそう。
見城社長は「運がいいよね」という人に対して、以下のように述べておられます。
冗談じゃない、俺はあなたの100倍血のにじむような努力をしてるんだ、っていうふうに言いたい気持ちを抑えて、飲み込むわけですよ。それを言っちゃったら馬鹿だから。
「運がいいよね」って言われてないときは、うまくいってないときだから、「運がいいよね」って言われなきゃ駄目なんですよ。
そのときに自分で、これほどの努力を人は運というか、っていうふうに苦笑しているというのが、一番いい時だと思うんですよね。
本当に「いま」に向き合っていたら、きっと他人を批判しているヒマなんてないし、そもそも気にならないのでは。とすると、いろいろ雑念だらけの私はまだまだってことだなーと猛省しました。
■編集後記■
連載を拝見していたのでKindle版は買わなくてもいいかなーと思っていたんですが、日替わりセールだったこともあり、前書きも読みたかったのでポチってしまいました(現在は定価に戻っています)。
密度は濃いですが、3万字くらいなので1時間もあれば読み終えられると思います。
数年前に初めてお目にかかったときは、まだトレンダーズにいらした経沢さん。
キラキラしてて、眩しくて、同じリクルート出身(私はリクルートエージェントですが)として、普段なら自分の中で低くなるはずの初対面の緊張みたいなモノは全く低くならず、畏れ多くて話せなかったのを思い出します。
※念のため補足しておきますが、当日もにこやか&気さくに話してくださいました。私が勝手に緊張してただけです(笑)
その後、何度かいろいろな場でお目にかかっていますが、そのたびに「お肉の好きな筒井さーん!」とにこやかに呼びかけてくださって(笑)、すごーくすごーく嬉しかったです。名前、覚えててくださってるんだ!と。
Kindleセールは終わっちゃったけど、定価でも360円!
言葉は柔らかいけど、芯はアツくてグサグサくる、そんな1冊です。
経沢さん、ステキな本をありがとうございました!!!