”幸せから生まれる幸せ”を掲げる普通であって普通じゃない25歳~『リブセンス<生きる意味>』上阪徹

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”幸せから生まれる幸せ”を掲げる普通であって普通じゃない25歳~『リブセンス<生きる意味>』上阪徹

今日ご紹介する本は、最年少で東証マザーズに上場したリブセンスの社長・村上太一さんに、ライターの上阪徹さんがインタビューしたモノです。

本書は日経BP社のTさんにご恵贈いただきました。
発売日前にいただいたのに、ご紹介が遅くなってしまい申し訳ございません&ありがとうございます!!

リブセンスの村上社長は、AssocieDayのとき、サイバーエージェントの藤田社長との対談を拝聴したことがあります。

踊るOL。

とても謙虚でニコニコした方という印象で、藤田社長も大絶賛。
オビにもこんなコメントを寄せていらっしゃいます。

こんなにまっとうに育った起業家が増えれば、起業家のイメージも変わる

本書から経歴を転載してみます。

株式会社リブセンス代表取締役社長。1986年生まれ。
幼い頃から人に喜ばれることが好きで、小学校高学年頃から将来は社長になりたいと思うようになる。高校時代から起業に向けた準備を開始。
初めてアルバイト探しをした際に感じた不便さを解消しようと、アルバイト求人サイトのビジネスを考案。
2005年、早稲田大学政治経済学部に入学後、「ベンチャー企業養成基礎講座」を受講し、そのビジネスプランコンテストで優勝。2006年に大学1年生でリブセンスを設立。2009年大学卒業。
2011年12月、史上最年少25歳1ヶ月で東証マザーズへ株式上場。会社事業が何より好きで、365日仕事を楽しむ日々を過ごしている。

経歴だけ見るとスゴいけど、本書の表紙でニコニコと笑う村上社長は、上阪さんの言葉を借りると「ごく普通の25歳の青年」に見えます。

では、何が「普通」でないのか?
ワタシなりに本書を読んで感じたことをまとめてみます。

 

株式会社なのに、利潤ではないモノを追求する理念。

本記事のタイトルにも書いた「幸せから生まれる幸せ」。
コレがリブセンスの理念なのだそうです。

いま勤めてる会社の理念、って皆さん、暗唱できますか?
ワタシはあまり自信ナイです……(前職のは強烈だったので覚えてますが)。

村上社長は、この一見「青臭い」と言われてもおかしくない理念を、徹底的に追求しているそうです。
このような理念を掲げた会社が、設立5年で株式上場を果たしたなんて、何だかステキな感じがしませんか?

 

NHKで取り上げられた際、アナウンサーに「これで儲かるんですか?」と聞かれたビジネスモデルを採用していながら、「利益率はなんと4割を超えている(P.18)」のだからオドロキです。

この理念は、創業してからしばらくして、言語化したものだそうです。
「過去を振り返って、自分がどんなときに楽しかったのか、どんなときにうれしかったのかをひたすら考え(P.201)」、1つの結論に達します。

人は幸せになるために生きている。自分にとっての幸せは、相手に喜んでもらうこと、人を幸せにすることで生まれてくるものなのだ。

(P.201)

この軸がはっきりとしてからは、自分がブレにくくなった」そうです。

ワタシが面白いなぁと感じたのは、村上社長は「人を幸せにするのは自分のためだ」と思っているところ。寄付をする際も、あくまで「自分のため」と考えるようにしているそう。

自己犠牲的ではなく自己実現的でなければいけないんです」と村上社長は言います。

上阪さんも書いておられますが、自分の身を削って行動すると、「これだけしてあげたのに……」という卑屈な気持ちになりがち。

なるほど、確かにそうだな、と自らを振り返って考えてしまいました。

驚異的な段取り力

創業にあたって、村上社長は緻密なスケジュールを立てたそう。
学生である創業メンバー全員が起業に専念できる時期を考え、そこから逆算してスケジュールを引いて、サイトのオープン日まで決めたとのことで、

当時作ったA4容姿2枚のスケジュール表が今でも残っており、見せてもらった。2月の起業のために必要な要素がすべて洗い出され、創業メンバーの誰がどんなスケジュールで何を担当するかがすべて網羅されていた

そうです。

何故このような漏れのない段取りができたのか。
それは学生時代に培われていたようです。

学生時代の試験勉強は、普段は部活で忙しかったため、「定期試験の2週間前から猛烈に勉強した(P.44)」そう。中学・高校時代は、この方法で常にトップクラスの成績だったとのこと。

具体的にどのようなことをするのかというと、

必要なことをすべて洗い出し、2週間にわたって綿密にスケジュールを組んで、それをやり遂げる。
それぞれの科目の難易度や勉強のために必要な時間を見極めて、何にどのくらい時間をかけるのかを決め、それを実行していくのだ。

(P.45)

……中学からコレですか。スゴいわー・・そもそも「必要な時間を見極める」のが難しい。
ちゃんと授業を聞いているからこそ、なのかな(ワタシがマジメに聞いてなかったわけぢゃないよ!)。

ちなみに、この段取り力を生かして、高校時代は文化祭実行委員の中枢メンバーとして、段取りをつけ、成功に導いた経験が、のちの起業を考える際の自信となったそうです。

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ご両親から受けた教育

最年少でマザーズ上場。
どうやったら、そんな子どもに育つのか?さぞかし特殊な教育をしているのでは?

と思う方も多いと思います。

でも、村上社長は留学するでもなく、英才教育を受けたわけでもなく、ごくフツウの家庭で育ったとのこと。

本書では随所でご両親からの教育について触れられていますが、ワタシが感じたポイントは、
「子どもを信頼する」「放任するけど見守る」「興味のあることをジャマしない」
という3つだと感じました。

子どもを信頼する

リブセンスの創業時の資本金は、村上社長が200万円、ほかのメンバーが合わせて100万円の計300万円でスタート。

村上社長はバイトで貯めた50万円では足りず、素直にご両親に貸して欲しいと頼んだそうです。

返答は、「いくらなのか」という一言だけだった。数日後、村上は父親に呼ばれた。目の前に封筒が差し出され、頑張れよ、とだけいわれた。中には現金150万円が入っていた。
高校を卒業してからまだ1年も立っていない19歳の学生に、ポンと150万円を渡せるだろうか。両親は、よほど自分の子どもを信頼していたのだろう。

(P.88)

ココ、シビレました。スゴいご両親です。

もちろん、「小さいころから息子が何をやってきたのか、見守っていたからこそ」だとは思いますが、このエピソードには圧倒されました。

放任するけど見守る

高校時代、「自分で会社をやってみたい」という発言に対し、父親のコメントは「ああそうか」という一言だったそう。

いわゆる教育ママ達が、いかに良い大学・大手企業に行かせるかに躍起になっているのとは正反対の環境で、村上社長はのびのび育ったそうです。

興味のあることをジャマしない

村上社長の母親は、「新聞や雑誌の気になる記事をクリッピングして、それをトイレの壁のコルクボードに画鋲で貼ってくれていました(P.70)」という部分からも分かるように、息子である村上社長が興味を持っていることに対し、反対(=ジャマ)をするのではなく、積極的に応援していらしたようです。


■編集後記■

いやー、全然フツウじゃないじゃん!と思いつつ、グイグイと最後まで読んでしまいました。
やっぱり上阪さんの文章は読みやすい&素晴らしいなぁ(プロのライターさんに失礼ですが)。

リブセンスが今後どのように成長していくのか、一傍観者としてではありますが、同じ人材業界に籍をおく者として、とても楽しみにしています!

目次

第1章 人を幸せにするビジネスモデル
第2章 起業を決意した高校時代
第3章 ベンチャーキャピタルはすべて断る
第4章 器用じゃないから乗り越えられた
第5章 上場は当然の通過点
第6章 最年少上場社長はどう育ったか
第7章 人を幸せにするのは自分のため