私はビジネス書も大好きですが、同じくらい「ビジネス雑誌」も好きです。
20代の頃は『日経ビジネスアソシエ』にお世話になったし、友人が編集部にいることもあって『日経WOMAN』もよく読みます。
最近は『PRESIDENT』が多くて、よく書店でそばに置いてある『Forbes JAPAN(以下「Forbes」)』も手にとっていました。
Forbesって、実は定期購読すると半額で読めるってご存知ですか?
定価890円が445円になる+配送料無料っていうよく分からない価格付けなんですが(笑)、コレを知ってから私は定期購読に切り替えました。
そして、今年の2月から、当ブログにも何度か登場している経済キャスター/ジャーナリストの谷本有香さんが、ForbesJAPANの副編集長 兼 WEB編集長に就任されたこともあり、せっかく定期購読してるんだし、応援する意味も込めて、毎月1つ以上の記事を当ブログでもピックアップしてみることにしました。
「フォーブス ジャパン」副編集長 兼 ウェブ編集長 就任のお知らせ | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
け、決してネタ切れしてるわけではありませんし、回しモノでもありませんよ!(笑)
2016年4月号のテーマは「『ゼロからイチ』を生むリーダーシップ」
以下7つのトピックが掲載されています。
- 「10億人にいい影響を与えよ! 成功するリーダーは「意義」にこだわる
- 世界が注目!「未来のビル・ゲイツ」21選
- 経営者、起業家が着目すべき「世界の課題169」
- 慈善事業家ビル・ゲイツに学ぶ「究極のリーダーシップ」
- 次世代リーダーは、なぜ「哲学」に注目するのか?
- べン・ホロウィッツが語る「チェンジメーカーに必要なこと」
- 川上量生×竹内薫 私たちが「新しい学校」をつくる理由
ドワンゴが教育事業に参入する意味
カドカワ(2015年10月に「KADOKAWA・DOWANGO」から社名変更)が「学校」を作る、というニュースを初めて耳にしたのは昨年10月14日。
正直なところ、「え?何で?」と不思議でしたが、今回の記事を読んで納得。というか、なるほど!
もともと僕らは、教育事業に参入する気はまったくなかったんです。ただ、ドワンゴ(当時)が通信制高校を手掛けるべきだ、と言ってくれる方がいて。話を聞いていると、いま、不登校の人たちは家に引き籠もって、みんなネットを見ている。そして100%の確率でニコニコ動画を見ている、と。角川の本も読んでいる。そう考えると、必ずしも僕らとは無関係ではないな、と思ったんです。
(本誌P.53)
川上さんといえば、ドワンゴを設立してニコ動を作って、ドワンゴ会長のままジブリに入社した人、って印象でしたが(ざっくりしすぎでスミマセン)、2015年6月にカドカワの代表取締役社長に就任されているんですね。
今年4月からスタートする「N高等学校」は、ネットを利用した通信制の高校。
年間の学費が安いのも注目されているみたいですが、全日制の学校との大きな違いは「学校の拘束時間が短くなる=自分がやりたい勉強の時間が増える」という点。
「学校は勉強しに行くところ」と限定するなら、効率はとてもいいですよね。
リアルな学校生活とは少し違う形になるので、対面でしか学べない部分をどのようにフォローしていくのか気になります。
対談相手の竹内薫さんは、物理や数学、脳、宇宙など幅広いジャンルの著書のある方。
竹内さんは2017年4月に、「MIRAI小学校」を開校予定とのこと。
「(小学校)1年生からプログラミングを学び始め、図画工作の授業では、レゴのロボットをプログラムで操る内容も盛り込む予定だ」とのこと。
本誌の紹介文を引用します。
「日本人のための英語の小学校」。
今年4月からはアフタースクールとしてスタート。株式会社として運営し、英語、日本語、プログラミングを3つの柱とする。(本誌P.52より抜粋)
竹内さん曰く「理系、文系と分けてはダメだと思うんです。(中略)ぜんぜん違うものを、自分が好きなものを特化してやっていくと伸びるんじゃないかと思います」とおっしゃいます。
それを受けて川上さん。
「社会システムの中では汎用品の人材が生産されていて、汎用品のなかでちょっと違う存在になろうと思ったら、それ以外のことを学ぶのが最も簡単で有効な方法ですよね」と。
これから「プログラミング」と「英語」
お2人が作る学校のコンセプトは違いますが、共通しておっしゃっていたのがプログラミングと英語を学ぶこと。
- 竹内さん:プログラミングは、基本的にやっておいて損はないと思います。
- 川上さん:多分、一番つぶしが利きやすいジャンルですよね。
N高等学校では、ドワンゴのエンジニアがプログラミングを教える予定とのこと。
「IT企業なので、プログラマーだったらつくれるだろう。そこは自信がありました」と川上さん。
竹内さんは、生徒に教えるのはもちろんですが、「先生」も育てたいとのこと。
若い先生たちに来てもらって、理科実験のやり方をこちらで鍛えたいなと思っています。そうしたスキルを身につけた先生をほかの公立小学校にも送り出す。そんなことを続けていると、10年くらい経てば教育の現場も変わると思うんです。
(本誌P.54)
リーダーシップより「教養」から得た結論で引っ張る
この特集のテーマである「リーダーシップ」については、否定的なお2人。
まずは川上さんの意見。
リーダーシップって何だろう、と考えると、世の中フクザツですよね。ある一人の人間がすべての知識をみにつけることはできない。
(中略)
リーダーがやるべきことは何なのかと言ったら、分からないことを、確信を持てないことを無根拠にやるだけですよ(本誌P.54から抜粋/太字は私が付けています)
そのうえで、「リーダーシップを発揮しなきゃいけない人間はもう少し教養を持て、と言いたいですね」とのこと。
これを受けて小林さんも「教養」の重要性について以下のようにおっしゃいます。
リーダーというのは、「次、どうなるか」という時に、動く人ではないですか。「みんなついてこい」といった時に、「この人についていって大丈夫なのかな」という人が多すぎる、と感じますね。
好きなことをたくさん、例えばN高等学校のようなところで勉強していると、結果的にそれが教養になると思う。
カッコつけて小難しい哲学書を読まなくてもいい、と竹内さん。
好きなことを突き詰めていくと、結果として教養が身につくのではないか、と。
竹内さんは、学生時代に「そこに座っていなければいけない」という授業が苦痛だったとおっしゃいます。
川上さんも、基本的には授業を聞かずに教科書を読んでいたそう。
「座ることと勉強は、本当は紐付いていない」という川上さんの言葉に、ハッとさせられた記事でした。
■編集後記■
理系と文系を分けるのはダメ、という竹内さんの言葉で、尊敬する奥田弘美さん(Wizグループ代表/スタートアップ業界の女帝)の娘さんの記事を思い出しました。
奥田さんと親子で受けたインタビューの中で、「今後10年で世の中はどう変わっていくか?」という質問に対しての回答が以下。
わたしは、文系理系の概念の差異が小さくなり融合が加速していく10年だと思います。現在は何かを生み出す際にも分業制で、作り手の役割が文系理系できっぱり分かれている。でもそんなの関係なくなる。
まさに竹内さんのおっしゃる内容とリンクしますよね。
インタビュー記事も素晴らしいので是非。