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リンダ・グラットン教授来日記念「未来の働き方はあなたがつくる」伊賀泰代さんとの対談も!

リンダ・グラットン教授来日記念「未来の働き方はあなたがつくる」伊賀泰代さんとの対談も!

今日は、最近書店で平積みになってる「ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」の著者、リンダ・グラット教授と、同じく平積みになって売れまくってる「採用基準」の著者、伊賀泰代さんのセミナーに行ってきました!

セミナーは、前半がリンダ・グラットン教授の講演→後半が伊賀さんとの対談 という流れ。

面倒がらずにPCを持っていけば良かった……と後悔するくらい、メモしまくりの2時間でした!
セミナーは200名募集だったものの、開催日前に満員御礼!ということだったので、備忘録も兼ねて、いつものようにメモの一部をシェアします。

 

目次

リンダ・グラットン教授の講演

本に書かれている人々の働き方に影響する「5つの要因」と、それに対応するための「3つの働き方のシフト」を解説したうえで、日本の状況について述べたグラットン教授。

ここでは、「5つの要因」「3つの働き方のシフト」「日本についてのコメント」に分けてご紹介します。

働き方に影響する「5つの要因」

  1. テクノロジーの変化
    アフリカでは、マサイ族が携帯電話を使っていることや、EdTechの台頭など。
  2. 人口構造の変化&長寿化
    日本は急速に高齢化が進んでいるが、20年後には中国でも同様の人口構成比になる。
  3. グローバル化の進展
    (教授の住む)ロンドンでは、他人種が増えつつあることを挙げ、企業にも多様性が求められる時代になる。
  4. エネルギーや環境問題の深刻化
    第一の資源は石油ではなく「水」。将来は水という資源と二酸化炭素に悩まされることになる。
  5. 社会の変化
    デンマークでは、すでに単身世帯>複数世帯になっている。離婚率の増加など、社会構造は変化しつつある。

1つめの「テクノロジーの変化」については、それまで星座などから自分のいる位置を把握していたイヌイットが、GPS装置を使うことになって遭難するケースもあるそう。

4つめの「エネルギーや環境問題の深刻化」に関して、ユニリーバではオフィスにいるとCO2排出量が増えるため、在宅やコワーキングスペースでのリモートワークが推奨されている、という事例も紹介されました。
日本でもリクルートが取り組み始めていますね。

「3つの働き方のシフト」

上記5つの要因から、教授は2つの未来予想を紹介。

1つは「漠然と迎える未来」。
世界は二極化し、中間層の仕事はテクノロジー(ロボット等)に置き換わります。
仕事は在宅勤務が基本で、孤独を感じる人が増える未来。

もう1つは「前向きな未来」。
みんなが協力し、互いに関わり合いながら生活を営み、人々は充足感を得ている未来。

漫然と迎える未来=「孤立」を意味し、前向きな未来=「CO-CREATION(コ・クリエーション)」「SOCIAL ENGAGEMENT(ソーシャルエンゲージメント)」「MICRO-ENTREPRENEUR(マイクロアントレプレナーシップ)」を体現します。

 

どちらの未来のほうが良いか人それぞれでしょうが、たいていは後者の未来を望むはずです。

そのためには、以下3つの「働き方のシフト」が必要だと教授は述べます。

From shallow generalist to special master.

中間層の仕事がテクノロジーに換わるのであれば、必要とされるのは「ゼネラリスト」ではなく「スペシャリスト」です。

しかも、1つの専門性を身につければOKというわけではなく、「連続して複数の専門性を身につけること」が必要だ、と教授はいいます。

書籍『ワーク・シフト』では「専門技能の連続的習得」と表現されています。

専門技能を連続的に習得した人材=「連続スペシャリスト」になるには、

  • どのようなスキルに価値があるのか?
  • そのスキルが高い評価をもつタイミングはいつか?
  • そのスキル・分野は自分の好きなものであるか?

を見極める必要があります。

そのうえで、自分のスキルを証明し仕事にするには、セルフマーケティングを継続的に行なうことが大切です。

From isolated competitor to innovative connector.

2つめのシフトで重要になるのがは「ネットワーク」です。

互いに孤立して競走するのではなく、専門スキルをもつ人たちがつながりをもって、その中で協力してイノベーションを起こすことを目指します。

本の中では3種類のネットワークが紹介されています。

  1. ポッセ
    専門スキルや知識がある程度重なり、少人数の信頼し合ったグループで、招集も容易。
  2. ビッグアイデア・クラウド
    友達の友達など、自分のネットワークのすぐ外にいる、多様性があって自分とタイプの異なるグループで、人数は多ければ多いほうが○。
  3. 自己再生のコミュニティ
    上記2つはネット上でも成り立つが、自己再生のコミュニティは現実の人間関係に限定される。一緒に食事をしたり、プライベートな時間を過ごすコミュニティを指す。

From voracious consumer to impassioned producer.

3つめは「大量消費→充実した経験」へのシフトです。
働く目的を、給与を得ることから、充実した経験によって幸せになることへのシフトともいえます。

大切なのは、自分がどういう人間なのか?人生で何を大切にしたいのか?を意識して選択することだと教授はいいます。

どのような未来をつくるかは、どんな会社に勤めているか?より、どんな希望やニーズ、スキルをもっているかで決まります。
また、選択する際は、それぞれの選択肢によって導かれる結果を深く理解しておく必要があります。

自分の希望しない選択肢には「NO」といえるような、自分の生き方に責任をもって自己確立していく覚悟が必要です。
そうすることで「前向きな未来」をつかみとることができます。

日本に対する2つの示唆

たびたび出てきた日本に対するコメントの中から、2つピックアップします。

長時間働く日本人は、早急に働き方を変える必要があります。
70歳になっても今と同じような長時間労働はできないですよね?
長時間労働=生産性が高い、というわけではないのです。

G7の労働生産性を比較すると、日本は19年連続ぶっちぎりの最下位というデータがあります(労働生産性の国際比較 2013年版/日本生産性本部)

※労働生産性には、「就業者1人当たり」と「時間当たり」の見方がありますが、いずれもG7最下位。時間あたりの労働生産性は1位のノルウェーの半分以下です。。

 

日本企業は対国内の事業展開のみという企業も多いですが、短期的には良くても長期的に考えると望ましくない傾向です。
テクノロジーによって世界が狭くなる(=世界中のあらゆる地域がオンライン化する)中、グローバルとのつながりをもつことは必須になりつつあります。

教授は英語に関して「グローバルコミュニティの一員になりたいなら、英会話は必須スキルでしょう。でも、英語が喋れるだけでは優位性は保てません」とおっしゃっていました。

リンダ・グラットン教授×伊賀泰代さん対談

伊賀さんの質問力にとにかく感動した対談でした。
※以下、お2人の対談メモですが、一言一句そのままでは無いのでご了承ください。

伊賀さん:
(著書内の)「好きなことを見つける」というメッセージについて、歴史学や絵画など、お金にならない「好きなこと」もありますよね。その辺りのことは、どのように考えているんですか?

グラットン教授:
多様性です。(歴史学や絵画など)それらの分野で仕事を見つけるのが難しいのは、本人のせいではありません。
あくまで状況のせい。そのことを予め理解しておくことがポイントです。

伊賀さん:
規制緩和により解雇される人が増えますが、仕事そのものは増えるのでしょうか?

グラットン教授:
規制された市場は「今すでに働いている人」を守ることはできますが、新たな雇用は産みません。
ヨーロッパでは起業家を増やす動きも出てきています。

伊賀さん:
不況のとき、大企業や公務員への就職希望者が増えると思いますが、誰がどうやって「起業」の方向に向かせるのですか?

グラットン教授:
シンガポールで最もインテリジェントな人材が就職する(したがる?)のは国(政府機関)。
一方、インドでは政府が整っていないため、起業が盛んです。国によって差があります。

伊賀さん:
(地域間格差は)今後、才能の有無による格差に置き換わると思いますか?

グラットン教授:
そうなるでしょうね。加えて、認知力+決意が重要だと考えています。
決意を持って1つのことに取り組むこと。
自分の人生で何をするか?を選べる公平な世界になりつつあります。
テクノロジーによって、生まれた場所に関わらず、優秀な人材は発掘されるようになるでしょう。


■編集後記■

いやはや、非常に有意義なセミナーでした!

最後の会場からの質疑応答の際、
「伝統的な日本企業にアドバイスするとしたら?」という問いに、「経営ポジションに女性を進出させるべし」との回答がありました。

西洋の多国籍企業では、日本人女性の評価は高いそうですが、実際に日本における女性活用の順位は150ヶ国中101位。

外国人幹部を入れる前に、女性活用を!とおっしゃっていました。

実際、幹部ポジションの30%が女性なら、それ以下の企業より業績UPすることは証明されているそうで、アドバイスとしては「2年以内にトップポジションの30%を女性に!」とのこと。

 

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