承認欲求を満たすのではなく「貢献感」を持つ -『嫌われる勇気』岸見一郎/古賀史健

本のマナビ
承認欲求を満たすのではなく「貢献感」を持つ:『嫌われる勇気』岸見一郎/古賀史健

ちまたで話題になっている『嫌われる勇気』、ワタシは「承認欲求」について学んでいる中で、本書に出会いました。

いやー、ひっさしぶりに衝撃を受けました!
2回ほど通読して、まだ「全面的に賛同」とはいえませんが、今まで触れてきた心理学や常識が180度ひっくり返るような内容でした。

まだ噛み砕ききれていないのですが、ワタシが衝撃を受けた&学びの多かったポイントに絞って、幾つかご紹介します。

トラウマなんて無い

一番最初に「えっ!?」と思ったのが、アドラー心理学では「トラウマ」を完全否定しているということでした。

ワタシはあるトラウマ(だと思っている過去の出来事)に悩まされてきたのですが、そんなものはナイと言われて、かなりの衝撃。

アドラーは「自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである」と言います。

過去の出来事を「原因」と捉えるのではなく、今現在にとっての「目的」を考えます。
ココでポイントなのが、「経験それ自体」ではなく、「経験に与える意味」によって自らを決定する、という点。

人は誰しも、客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけをほどこした主観的な世界に住んでいます」という記述が出てきますが、この点はとても腑に落ちます。

確かに、同じ失敗をしても、ある人は「挫折」と捉え、別の人は「成功への過程」と捉えることだってありますよね。

人生を主体的に生きるために、「大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」とのこと。

同じではないけれど対等-縦の関係から抜け出す

アドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言しています。

また、人間関係について、縦の関係(優劣・上下)ではなく、横の関係(同じではないけれど対等)を理想としています。

人は誰しも違っている。その「違い」を、善悪や優劣と絡めてはいけないのです。どんな違いがあろうとも、われわれは対等なのですから。

縦の関係でよく出てくるキーワードが、「優越感」と「劣等感」です。
アドラーは劣等感について、「“客観的な事実”ではなく、”主観的な解釈”」であると表現しています。

また、劣等感とは別に「劣等コンプレックス」という言葉も登場します。

劣等コンプレックスとは、自らの劣等感をある種の言い訳に使いはじめた状態のことだそう。
具体的に言うと、「Aさえなければ、わたしは有能であり価値があるのだ、と限外に暗示」してしまうようなこと。

不幸自慢する人、いますよね。
もうちょっと軽い感じだと、大変だった自慢かな(ワタシもよくやっちゃうので気をつけねば)

不幸であることによって「特別」であろうとし、不幸であるという一点において、人の上に立とうとします」というのは、心情的に理解できなくもないけど、ツラいですよね……

健全な劣等感とは、他者との比較のなかで生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるものです。
(中略)
対人関係の軸に「競争」があると、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れることができません。

↑ココ、Facebookだったら「いいね!」を100回くらい押したいです。

課題の分離をして、共同体感覚を持つ

『嫌われる勇気』とは

じゃあ、縦ではなく、横の関係を築くにはどうすれば良いの?と思いますよね。

前提となるのが「課題の分離」という考え方です。

先ほど、承認欲求について言及しましたが、そもそもどうして他者からの承認を求めるのでしょうか。
アドラー心理学の考え方によると、多くの場合、賞罰教育の影響が大きいとのこと。

われわれは「他者の期待を満たすために生きているのではない」
(中略)
他者からの承認を求め、他者からの評価ばかり気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになります。

グサッ……

ココで登場するのが、アドラー心理学における「課題の分離」です。
課題の分離は、「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」を考えることで見分けることができます。

本書では、

あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと——あるいは自分の課題に土足で踏み込まれること——によって引き起こされます。

と書かれており、「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を呑ませることはできない」ということわざが紹介されています。

そして、課題の分離を踏まえたうえで、アドラー心理学では、対人関係のゴールを「共同体感覚」としています。

他者を仲間だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることを、共同体感覚といいます。
(中略)
共同体のなかに自分の居場所があると感じられること、「ここにいてもいいのだ」と感じられること、つまり所属感を持っていること、これは人間の基本的な欲求
(中略)
所属感とはただそこにいるだけで得られるものではなく、共同体に対して自らが積極的にコミットすることによって得られるのだと考えます。

よく「クレクレ君」と呼ばれる、GIVEをせずにTAKEばかり考えている(ように見える)ヒトを見かけますが、所属感を持つには、それではダメだってことですよね。

自己への執着(self interest)を他者への関心(social interest)に切り替え、共同体感覚を持てるようになること。
そこで必要になるのが、「自己受容」と「他者信頼」、そして「他者貢献」の3つ
(中略)
この3つはひとつとして欠かすことのできない、いわば円環構造として結びついています。
ありのままの自分を受け入れる——つまり「自己受容」する——からこそ、裏切りを怖れることなく「他者信頼」することができる。
そして他者に無条件の信頼を寄せて、人々は自分の仲間だと思えているからこそ、「他者貢献」することができる。
さらには他者に貢献するからこそ、「わたしは誰かの役に立っている」と実感し、ありのままの自分を受け入れることができる。「自己受容」することができる。

ちなみに、この「貢献している」という実感は、主観的でOKとのこと。
相手や共同体の役に立っているかどうかを判断するのは、他者であって自分ではない=課題の分離というわけですね。

そっかー、自己満でいいのか!(笑)

 

他にもたっくさん響きまくったんですが、続きは本書をお読みください!
いやはや、ワタシ的には最後に引用した部分を読んだだけで、本書のモトは取れた!と思いましたよー!


■編集後記■

よ、ようやく書けた…!!!
だいぶ前に読了していたんですが、なかなか書感にまとめられず…スッキリ!

この本、本当にオススメです。
対人関係に悩んでいるなら特に!

<目次>


第1夜 トラウマを否定せよ
第2夜 対人関係がすべてである
第3夜 他者の課題を切り捨てる
第4夜 あなたの居場所はどこにあるか
第5夜 幸福に生きる条件とは