ハフィントンポスト日本版2周年イベント「未来のつくりかた ダイバーシティの先へ」<前編>

人からのマナビ
ハフィントンポスト日本版2周年イベント「未来のつくりかた ダイバーシティの先へ」<前編>

今日は六本木の泉ガーデンで開催されたハフィントンポスト日本版の2周年イベントへ。

ハフィントン・ポスト(通称:ハフポスト、ハフポ)とは何か?について、日本版のサイトに何も説明が載ってなかったので、Wikipediaの本家の説明を引用します(ハフポの中の方、「当サイトについて」みたいなページ、必要だと思いますよ…日本版のスタッフリストだけではなく)

ハフィントン・ポスト(英語:The Huffington Post)は、アメリカ合衆国のリベラル系インターネット新聞である。様々なコラムニストが執筆する論説ブログおよび各種オンラインメディアからのニュースアグリゲーターで、政治、メディア、ビジネス、エンターテイメント、生活、スタイル、自然環境、世界のニュース、お笑いなど広い分野を扱う。略称はハフポスト(HUFFPOST)、ハフポである。

まずは日本版編集主幹の長野智子さんの挨拶からスタート。

レガシーメディア(TV・新聞等)で埋もれてしまいがちな「小さな声」を、「聞こえる」声にしていきたい、いけると思っています。
ターゲット層が団塊ジュニア世代なのは変わらず、3年目のテーマは「ダイバーシティ(多様性)」です。

ハフィントン・ポスト(以下、ハフポ)は、日本のメディアの中では国際ニュースに強いと言われています。
今後ますます各国版との連携を深め、既存メディアにはない価値を提供してくれると、私も期待しています。

 

プログラムは以下。

  • 冒頭挨拶(ハフポ日本版編集主幹 長野智子さん)
  • 基調講演:多様性のある社会へ、私たちができること―グローバルに活躍する人材とは(日本紛争予防センター理事長 瀬谷ルミ子さん)
  • パネルディスカッション1:アジアの女性、その生き方
  • 特別鼎談:未来のつくりかた―P&Gの柔軟な働き方
  • パネルディスカッション2:子育てしやすい国へーこれからの働きかた
  • ハフィントンポスト日本版 今後の展開(ハフポ日本版編集長 高橋浩祐さん)
  • 閉会の挨拶(ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン代表 西村陽一さん)

盛りだくさんな内容でしたが、当ブログでは2つのパネルディスカッションについて、前後編に分けてレポートします!

日本だけじゃない!「ガラスの天井」の実態

1つめのパネルディスカッションの登壇者は、前述の長野智子さんと、韓国版の編集主幹であるソン・ミナさん、インド版の編集主幹であるイシェタ・サルガオカーさん。

まずは長野さんから、ジェンダーギャップ指数、女性の管理職割合ランキング、ガラスの天井について、日本・韓国・インドの順位が発表されました。

ジェンダーギャップ指数

ジェンダーギャップ指数とは、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が毎年発表している、各国における男女格差を図る指数。
経済・教育・政治・保健の各分野のデータから作成されます。

最新データ(2014年)では、142カ国中、日本=104位、インド=114位、韓国=117位。
ちなみに、1〜4位は北欧の国々(上位から順に、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン)が占めており、最下位はイエメン共和国です。

下位の国の多くは発展途上国であり、先進国の中で日本や韓国は最下位に近い位置付けと言えますね……
ジェンダーギャップ指数の内訳を見ると、日本は「教育」「健康」分野では平均値を上回るものの、経済分野では平均よりちょっと下、政治分野では平均値の半分です。

ジェンダーギャップ指数については、少し前のインタビューですが、下記が参考になります。

女性の管理職ランキング

これは言わずもがなですね。
日本は96位、韓国は97位だそう。

原典は国際労働機関(ILO)の報告書(2014年6月)です。

上記報告書にも書かれていますが、パネルディスカッションでも「日本や韓国では、決定権において男女差がある」と紹介されていました。
これは、伝統的な男女の役割分担が、労働市場の、特に意思決定への女性の参加を妨げている、という指摘ですね。

ガラスの天井を感じた経験、背景

まずは「ガラスの天井」の定義について。

「ガラスの天井」とは、英語の「glass ceiling」の訳で、組織内で昇進に値する人材が、性別や人種などを理由に低い地位に甘んじることを強いられている不当な状態を、キャリアアップを阻む“見えない天井”になぞらえた比喩表現です。もっぱら女性の能力開発を妨げ、企業における上級管理職への昇進や意思決定の場への登用を阻害する要因について用いられることが多く、ガラスの天井の解消を図ることが、職場における男女平等参画を実現する上で重要な課題となっています。

人事労務用語辞典より引用)

「The Economist」が2015年3月に発表した最新のランキング(The glass-celling index)では、OECDの加盟国の中で統計の取れた28カ国のうち、日本が27位、韓国は最下位(28位)でした。

パネルディスカッションでは、長野さんから2人のパネリストに「2人はガラスの天井を体験しましたか?」という質問が投げかけられました。

質問に対し、韓国版編集主幹のソンさんは「もちろん!」と即答。

彼女は大学卒業後、10年間韓国放送公社(日本でいうNHK)に入社しアナウンサーとして活躍していたそうですが、21時台のニュースでアンカーをしていたとき、レポーター出身でアンカーとしては新人の男性がパートナーになった際のことを話してくれました。

速報は、私がワクワクすることです。オープニングの重要な政治や社会的なニュースというのは、だいたいアンカーが話します。
速報が入ってきて、私は「うまくやらなければ」と思いました。けど、レシーバーでプロデューサーが言うのです。「これは男性にやってもらってくれ」と。

 

とてもツラい経験でした。
国連の重要な決議が出たとか、大きな戦争がイラクで起きたとかということではありません。野球の速報だったのです。私はその速報すらも読めないのかと心を痛めました。
当時、アンカーとして3年の経験を持つ私より、男性というだけで新人でも重要なニュースを読む。
これは自分のキャリアを考え直すきっかけになりました。現実はこうなんだと。女性の直面しているのが、こういう現場なのだと。

インドでも同様とのこと。家父長制度が強いんだそうです。

メディア業界では女性アンカーもいるそうですが、他の業界で女性役員はいないとのこと。
ただ、ムンバイ証券取引所が2015年に、「上場しているすべての会社は、女性管理職(取締役)を少なくとも1人は入れなければならない。もしくは罰金を支払う義務を追う」という規制を設けたため、現在ほとんどすべての会社が遵守しているんだそう。

女性役員の数は増えたとはいえ、中間層の管理職の女性はまだまだ少なく、「家庭か?仕事か?」の選択を迫られているとのこと。これはインドのみならず、どこの国でも話されているトピックですよね。

 

では、「ガラスの天井」はどこから来ているのか?と長野さん。

日本の場合は、すでにできあがった男性社会に女性が入って、働く状況はあると思います。
もう1つは、男性だけでなく、女性にも固定観念があると思います。「きちんと家庭を守って、家を守って、子供を育てる人が良い奥さんであり、いいお母さんである」みたいな。
(中略)
私の友達で、アメリカで子育てをしている日本人は「子育てがラク」と言います。

 

やはり日本の社会には、何となくみんなが共通して持っている固定観念があります。
男性のみならず、女性自身もそれに縛られているのではないかという感覚があります。

彼女の話を受けて、ソンさんのお話。韓国では儒教の影響が大きく、孔子が重視され、「家庭内で母親が教育を行う」という伝統があるそう。

ただ、最近は状況が変わってきており、女性は実家に帰ると(以前は「早く結婚しろ」と言われていたが)「結婚するな、自立せよ!」と言われるようになってきたとのこと。
もともと教育における母親の影響が大きいので、まずは母親の意識から変えるべきだ、とソンさんは言います。

 

インドでは人身売買やレイプの問題もあり、女性の立場は非常に弱いそう。
ただ、イシェタさんの家では、彼女のお兄さんと自分の扱いが同じだったので、「自分は何でもできる!」と思って育ったそう。
インドではかなり進歩的なご両親に育てられた、自分はマイノリティーだと感じているそうです。

最近は政府が法整備を進めており、人身売買や暴力、レイプに関する事件の報道も増えたそうですが、インドには29州もあり、郊外は別の国と同じだそう(つまり、女性に対する扱いが変わりつつあるのは都会だけで、郊外ではまだまだ女性の扱いは低い)

現状をどう変えていくか?

各国に「ガラスの天井」が存在することを踏まえ、女性がもっと社会進出するためにどうすれば良いのか?と考える際、「男性の長時間労働を止めないとダメだ、という議論があります」と長野さん。

それを受けて、ソンさんは「ヨン様のような男性はいません(笑)」と言います。
20〜40代の男性は家事をやっている、と言われるものの、共働き夫婦の中で40%の男性が、家事を何もしていないという統計もあるそう。

韓国ではあまりに残業が多く、男性は飲みながら仕事をする慣習があるそうで、そうなると家事は女性任せになりますよね。
10年単位で時間がかかるけれど、文化的なことを男女ともに変えていかなければならない、とソンさん。

男性と戦うことのではなく、もっとソフトな形で、徐々に変えていくことが大切。
男女共に協力・共存しながら、女性としての強みを生かすことができるのではないか、と思います。

一方、インドでは女性が仕事で男性より遅く帰宅すると大変!だそう。
(男女の)対決ではなく、対話から始めることが大切です」とイシェタさん。

アジア女性へのメッセージ「Be Crazy! Be Special!」

最後に、現状を変えていくメッセージをパネリストの2人から。

まずはソンさん。

韓国の女性は、”群れから外れるのが怖い”と感じます。気持ちは分かるけど、それではダメ。
私は世界のトップリーダーと仕事をする機会に恵まれましたが、彼らはみな同じようなことを言います。
「クレイジーであれ」と。

 

私がよく韓国女性に伝えているメッセージは、「スペシャルな存在になることを恐れるな」「自分自身の幸せを見つけよ」「群れから外れる勇気を持て」「旅に出て新しい多様な人に会う」ということです。

続いてイシェタさん。

インドや日本、韓国には伝統・固定概念があります。
女性が社会進出すること=伝統をナイガシロにするわけではありません。
伝統を大切にしつつ女性が社会進出することはできるはず。

 

自信を持って、誰かがダメだといっても、やりたいことがあるならやるべきです。
誰かがガラスの天井を割ってくれるのを待つのではなく、自分で割るべき。
唯一自分がコントロールできるのは、自分だけなのですから。

最後に長野さんの総括。

ただ女性の割合を増やせば良いわけではないですよね。
リーダーシップを持つ女性が、女性であることを理由に昇進を得られないという状況がまだまだあると思います。そこは政治や企業が取り組んで行く課題だと思います。
(中略)
大切なのは男性も女性も、固定観念にとらわれないということ。
So please be crazy!


■編集後記■

だいぶ長くなりました(これでもだいぶ削ってます)。パネリストの皆さんの力強いメッセージに、会場からは惜しみない拍手が贈られましたよ!

1時間のパネルとは思えないくらいの濃い内容で、非常に多くの気づき・マナビをいただきました。
パネリストの皆さん、ありがとうございました!

次回は2つ目のパネルディスカッションをレポートします。