あなたの”役割”は何ですか?『一生の仕事が見つかるディズニーの教え』大住力

本のマナビ
あなたの"役割"は何ですか?『一生の仕事が見つかるディズニーの教え』大住力

今日ご紹介するのは、40歳を過ぎてオリエンタルランド(東京ディズニーランドの運営会社)を退社し、公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」を立ち上げ、会長を務めていらっしゃる大住力さんの本。

本書は日経BP社のT様にご恵贈いただきました。
いつもありがとうございます!

BtoCのサービスに携わる者として、ディズニーのサービスやマインドには、以前からとても興味を持っていました(もちろん、関連書籍も読んでます)

そのディズニーを退社し、難病の子どもとその家族の支援を始めた大住さん。
どんな人なんだろう?と興味を惹かれました。

以下、詳しくご紹介していきます。

 

「支援」ではなく「応援」

そもそも、なぜ著者はディズニーを飛び出し、この活動を立ち上げるに至ったのか?という部分。

この団体の主な活動は「難病を患っている子どもとその家族を、ディズニーランドなどに招待して楽しんでもらうこと(P.12)」です。

日本で難病と戦う約20万人の子どもたちの約半数が、病気が治ったら「ミッキーマウスに会いたい」と答えるのだそう。そうなんですね……

この活動に対する著者のアツい想いに、「はじめに」の段階でぐっときました。

僕は、「支援」なんてできないと思っている。病気を治すことはできないし、生活を支えてあげることもできない。
できるのはせいぜい、「応援」だ。
病気を患う子どもに「君はひとりじゃないよ」といってあげることだ。
その家族に、「みんながついてますよ」と声をかけることだ。

(P.13)

著者は病気になって初めて、「自分は組織の歯車である」と気づきます。
そして、とある施設をクローズする際、お客さまから「今までありがとう!」とお礼を言われたことで、自分の非力さと、「仕事というものは、お客さまに作られるものなのだ(P.69)」と思い至ったそう。

2人の巨人との出会い

1人は言わずと知れたディズニー創始者のウォルト・ディズニー。
もう1人は、私財を投げ売ってGive Kids the Worldを立ち上げたヘンリ・ラドワース。

この2人との出会いが(1人は故人だけど)、著者の人生に大きな影響を与えたそうです。

ウォルト・ディズニー

著者は20年以上、ディズニーに携わってきたこともあり、本書では随所にディズニーに関するエピソードが登場します。

その中でワタシが何度も読み返したのが「作業」と「仕事」の違いの部分。
少し長いけど引用します。

ウォルト・ディズニーは、いわゆる仕事というものを、2種類に分けて考えた。
それが、「Duty」と「Mission」である。
Dutyは、「作業」と訳され、Missionは「仕事」と訳される。
(中略)
実は、ディズニーランドにおいて「作業」とは、マニュアルで細かく決められていて、誰がいつやっても同じ結果が得られるもの、と定義されている。
つまり、作業というのは、やって当たり前なのだ。
作業だけをやって、「自分は仕事をした」と思ってはいけない。
必ずそれ以上のものが問われる。それが、「仕事」なのである。

(P.27)

普段、私はどれだけ「仕事」ができているのか、グサグサきました。

若手が入社早々に退職してしまうことについて、非常に共感したので、ココも引用。

会社に入ったばかりの人は、まず作業を覚えることが求められる。
それは時に単調で、つまらないかもしれない。
「こんなことをやるために自分は入社したんじゃない」と思うかもしれない。
けれども、「作業」と「仕事」がきちんと区別できていれば、作業がつまらないからといって「これは自分のやりたかった仕事ではない」と落胆することはない。

(P.37)

ヘンリ・ランドワース

ウォルト・ディズニーに比べ、ヘンリ・ラドワースのことをご存知ない方も多いと思います。

彼は、著者が代表を努める公益社団法人の活動のお手本になったアメリカの団体を立ち上げた人物。

その団体は「Give Kids the World」

彼のエピソードも随所に登場しますが、ワタシの心に最も響いたのが、
生きるとは、人に渡すことだ(P.107)」
という彼のセリフです。

勝間和代さんがよく「GIVEの5乗」とおっしゃっていることと通じるなぁと思いました。
(本書では「ギブ・アンド・ギブ」という表現です)

お前が生きるということは、お前が持っているものを人に渡すことなんだ(P.109)」
このセリフにもシビレました。

思い込みからスタートしてもOK!熱意を伝え続けることが大切

著者は、「NHKスペシャル」で前述のヘンリ氏の「Give Kids The World」の存在を知り、ヘンリ氏に直接会ってから、日本でも同様の活動をしよう!と「思い込んだ」そう。

思い込みからスタートし、オリエンタルランドを退職した著者は、いきなりピンチに陥ったそうです。

資金が尽きそうになった際、設立当初のメンバーが去り、アメリカの「Give Kids The World」の提携にも時間がかかり、銀行からは軒並み融資を断られるという八方ふさがりな状態。

それでも、熱意・想いを伝え続けることで、若手銀行マンが必死になって融資を取り付けてくれたり、取引先への支払いが滞ってしまった時に、翌月まで支払期限を延ばしてくれた担当者がいたりと、様々な人からの助けがあって、活動が安定してきたそうです。

単なる「思い込み」からスタートしても、「本気の姿を見せる」ことで、周りも協力してくれるのだ、と本書を読んで、温かい気持ちになりました。

一方、本書の最後の1文、
あなたの役割は何ですか?
という問いは非常に重いです。私は見つけられているのか?と問いを突きつけられた気がします。


■編集後記■

久しぶりに難産な書感となってしまいました。
公益社団法人の活動を紹介するだけになってはいけないし、本書のタイトルである「一生の仕事が見つかる」方法のステップがまとめられているだけでもないし…とどういう観点から書けば良いのか難しかったです。

ただ、著者の大住さんの活動は素晴らしいと思います。
本書で「難病の子どもとその家族へ夢を」の具体的な活動内容について紹介されているので、ぜひご一読ください!

<目次>
はじめに
第1章 あなたの役割は何ですか?
第2章 大切なことは目の前にいる人が教えてくれる
第3章 仕事はお客さまに作られる
第4章 ディズニーランドは永遠に未完成
第5章 心を癒す魔法の国
第6章 ひとりじゃない」と伝えたい
第7章 「思い込み」こそ力
第8章 名刺がない自分に何ができるか?
第9章 立派じゃない人生で巡りあえたもの
第10章 つながっていくいのち
おわりに